STRIDE_X
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100km級のロングウォークを、夜通し歩き切るための記録アプリ。 つくっているのは、実際にその距離を歩く人間です。
概要
100km・100マイル級のウォーク大会に出る人のための道具です。 正午や夕方にスタートし、夜を通して歩き、翌日にゴールする—— 行動時間20〜40時間、コース上に制限時間つきの関門がある、という条件を前提に設計しています。
大会に向けて30〜50kmの練習を歩くときにも同じように使えます。 コース作成・計画・計測の流れが本番とまったく同じだからです。
歩くコースを地図の上で引き、地点ごとに何時に着いていたいかを決めておきます。 本番はその計画と実際の位置を突き合わせ、「予定より何分早いか/遅いか」 「次の関門に間に合うか」を大きな文字で出し続けます。 地図は表示した範囲が端末に残るので、圏外でも歩いてきた道が見えます。
つくらなかったもの
対象を絞ったこと自体がこのアプリの性格です。次の用途には向いていません。
- ランニング — 走る速度に合わせた表示・判定を作っていません
- 登山 — 累積標高を計測していません。標高はGPS由来の値しか持っていません
- 日常の歩数・健康管理 — 歩数を扱っておらず、ヘルスケアとも連携していません
一般的な記録アプリと違うところ
1回の計測が20時間を超え、日をまたぐことを前提にしています。 関門の締切は翌日・翌々日まで指定でき、時刻の表示も日付を持ちます。 計測の途中でアプリが落ちても、起動時に必ず未完了の記録を拾い直します。
GPSが途切れること、コースを外れることを、隠さずに画面へ出します。 過去に歩いた100kmウォークの記録(1秒間隔・18時間19分)を調べたところ、 1秒を超える記録の断絶が76箇所・合計56分(全体の約5%)ありました。 「途切れない」という前提では作れません。
記録は端末の中だけにあり、追跡する仕組みを一切持ちません。 会員登録もアカウントもなく、歩いた記録をどこかのサーバーへ送ることもしません。 解析ツール(Firebase・Sentry 等)も広告も入れておらず、広告識別子(IDFA)も使っていません。 外部ライブラリはデータベースを読み書きするもの1本だけで、これは通信しません。 (地図の表示などに伴う通信についてはプライバシーポリシーに記載しています)
主な機能
コースを引く
歩く道を地図の上で作ります。地図をタップして地点をつなぐ、指でなぞって線を引く、 スタートからの距離を数値で指定する、の3通りで作れます。 大会が配布する GPX・KML ファイルを読み込んでコースにすることもできます。
市街地など、地点と地点を「道なりに」つなぎたい区間は、その都度選んで曲げられます。
何時にどこへ着くかを決めておく
ゴールの目標時間を入れると、区間ごとの目標ペースへ距離に応じて配分されます。 関門は締切として別に持てるので、 「目標より遅いが関門には間に合っている」という状態を区別して見られます。 締切は日付をまたいで指定できます。
歩いている間の表示
計測中の画面には、次の地点までの距離、予定より何分早いか/遅いか、 ゴールの到着見込み時刻、締切までの余裕が出ます。
文字は大きく、色は航空機の計器(FAA AC 25-11B)と JIS 安全色の割り当てに合わせています。 赤は締切の超過、黄は余裕がわずか、緑は余裕あり、白と黒は事実の数値、青は動かない計画値。 疲れて頭が回らなくなった人間が、一瞥で判断できることだけを狙っています。
夜間は画面全体を段階的に落とせます。テーマの反転ではなく、光の量そのものを落とす作りです。
経由地への到着・滞在を自動で記録する
エイドや関門をコースに置いておくと、近づいた・着いた・出発した、を自動で判定して記録します。 判定の半径は地点ごとに自動で決まり、必要なら個別に上書きできます。
圏外でも地図が残る
地図は一度表示した範囲が端末に保存され、圏外でも再表示できます。 ただし事前の一括ダウンロードには対応していません。 初めて歩くコースは、出発前に地図を一度表示させておいてください。
コンビニ・トイレ・スーパー・ドラッグストアは全国16万件ぶんをアプリに入れてあるので、 圏外でも「この先どこで補給できるか」が地図に出ます。
歩き終えたあとの記録
終了すると、その日の行程を1枚の画像にまとめます。 歩いた時間帯がそのまま背景のグラデーションになります。 記録の詳細画面からは GPX ファイルを書き出して、他のアプリへ渡せます。
対応環境
| 対応OS | iOS 26以降 |
|---|---|
| 対応機種 | iPhone(iPad・Apple Watch には対応していません) |
| 言語 | 日本語のみ |
| 対象地域 | 日本国内向け(地図・施設・地名データはすべて日本のものです) |
| オフライン動作 | 計測・到着判定・記録の保存・コース作成はすべてオフラインで動きます。機内モードでも計測できます |
オフラインで動かない部分は3つです。 まだ一度も表示していない範囲の地図(白くなります)、地点名の自動提案(オフラインの地名データに切り替わります)、 「道なりにつなぐ」(直線での接続に切り替わります)。
料金
基本無料です。広告もサブスクリプションもありません。
無料のままで全部の機能が使えて、保存できるコースが5件までという制限だけがあります。 それ以上のコースを持ちたい場合に、買い切りの STRIDE_X Pro があります。
作者を応援するための課金もアプリの中に置いていますが、買っても機能は何も変わりません。
ダウンロード
App Store での配信に向けて準備を進めています。公開時期が決まりましたら、このページでお知らせします。
背景
2025年10月11日、行橋別府100キロウォークを歩いた。
行橋別府は3回目、100km以上の大会としては6回目になる。 正午にスタートして、翌朝6時25分にゴール。18時間19分、101km。 正午に出るので、日が暮れるのは必ず途中になる。夜の大半を歩いて過ごすことになる。
いちばんきついのは眠気だ。 足の痛みも来るが、あれは人による。眠気はたぶん全員に来る。
そして眠いまま、ずっと何かを選び続けることになる。 ここで休むか、あと1km進んでから休むか。何を食べるか。 靴紐を締めすぎて足が痛い。いま立ち止まって直すか、次のエイドまでこのまま行くか。 一つひとつは大したことのない選択で、単体では結果を左右しない。 それを何百回か繰り返した先に、着いているか着いていないかがある。
歩き終えてから、そのときの記録を読み直した。 1秒ごとに残っているはずのログに、1秒を超える切れ目が76箇所あった。 合計56分。全体のおよそ5%が記録されていなかった。 途切れないものだと思っていたが、違った。 そして歩いている最中には、そのことに気づいてすらいなかった。
眠くて頭の回らない人間は、目の前が無限の選択肢に見えた時点で、もう選べない。 気づけないことにも気づけない。
100kmも、42億分の1も、たどり着き方は同じだ。
だから STRIDE_X は、答えを出そうとはしない。 無限に見えるものを「どっち」まで減らすことを仕事にしている。 予定より何分早いのか。次の関門に間に合うのか。いま進むのか、休むのか。
そして分からないときは、分からないと出す。 測位が来ていないなら来ていないと、コースから離れたなら離れたと。 途切れないふりをして距離を数え続けるより、そのほうが役に立つ。